[ くちづけ ]

[ 殻巳～KARAMI～ ]

部屋を出る

[ くちづけ ]

紫の雨の中傘もささずに歩く君を
よびとめた．．．
ふり向いた君の頬をつたう雫は
雨なのか涙なのかあの時はわからなかった

二度目に会いにきた君は
笑顔が綺麗な女性だった
でも君は心からわらう事ができなかったね

二人で過ごす時間は
君の傷ついた時間(とき)を埋められると信じてた
僕は君の傷を知らないふりをしていた

それが君の為だと．．．

僕の出した結論はどこまでが正しかったのか．．．

部屋で横たわる君をみつけた
小さな瓶が力無くころがっていた
僕の絶叫は声にならなかった

冷たくなった君の体を抱きしめくちづけを交わす
さらに強く抱きしめ君のからだをあたためる

冷たくなった君の体を抱きしめくちづけを交わす
優しい言葉をかける最後に交わす会話は．．．

やがてぼくの手首は赤く染まる

[ 殻巳～KARAMI～ ]

受話器の向こう側に行く事はできないの？
貴方の記憶の中でセピア色に染まった私

声は届くのにこの手を伸ばしても
貴方の腕はつかめない
静止画の中の貴方がシルエットに滲む

遠い場所にいる貴方への思いは募るばかり
決して無くなる事のない距離は
二人の間の壁でしかない

壊す事の出来ない壁は化粧した私を
貴方に見せる事も許さない

別れの瞬間も二人にはわからなかった

別れが思い出になる程
二人の距離ははかなく遠い

別れを思い出にした程
二人の心の距離は縮まらない

静止画の中の貴方がシルエットに滲む

別れが思い出になる程
二人の距離ははかなく遠い

別れを思い出にしたくはなかった私の思いは
受話器の向こう側には届かない

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